行政書士木村正作事務所|千葉県四街道市

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遺産分割の種類とメリット・デメリット

代償分割とそのほかの遺産分割方法
・代償分割とは、遺産を多く取得する代わりに代償金を支払う方法
・代償分割は、遺産を多く相続した人がほかの相続人に代償金を支払うことで、差額分を
 調整する遺産分割方法です。
・代償分割は、遺産の多くを不動産が占める場合に利用するのが一般的です。
事例 
相続財産:不動産 5,000万円、預金2,000万円
相続人:長男、次男

・上記のケースで、仮に長男が不動産5,000万円、次男が2,000万円を相続したとしま
 す。
・法廷相続分に従うと、長男と次男は、3,500万円づつ相続できるはずですが、この分割
 方法では、次男に不利です。
・この場合、代償分割をすれば、長男が次男に、1,500万円の代償金を支払うことで、兄
 弟の相続分が平等になります。

代償分割以外の遺産分割の方法
・代償分割以外の遺産分割方法には、以下の3つの方法があります。
①現物分割
 相続財産を現物のまま分割する
②換価分割
 相続財産の売却金を相続人の間で分配する
③共有
 相続財産を相続人同士で共有する

代償分割の5つのメリット
①公平な遺産分割を実現しやすい
 相続財産が不動産しかない、もしくは不動産が多くの割合を占めている場合、通常の分割方法では、相続人同士で平等に遺産を分けあうことができません。
②スムーズに相続できる
現物分割や共有分割では、分け方が不平等になってしまう場合でも、代償分割なら平等に分け合うことが可能です。
③相続税を節税できる
代償分割をすると、小規模宅地等の特例を最大限に活用できます。
小規模宅地等の特例は、一定の相続人が自宅の敷地を相続すると、相続税評価額が最大80%減額される制度です。
小規模宅地等の特例を使って自宅敷地を相続する場合、相続人同士で共有分割するよりも
代償分割をした方が相続税を抑えられる可能性があります。
④不動産を売却せざるを得ない事態を回避できる
遺産を平等に分けようと、換価分割を選んだ場合、不動産の売却金を相続人同士で分け合うことになります。不動産に被相続人との思い出が詰まっている場合や、先祖代々大切にしてきた不動産である場合、手放すことに強い抵抗感を感じることもあります。
⑤事業資産や自社株などの細分化を免れる
事業用資産や自社株などを1人の相続人に集約できるのもまた、代償分割のメリットです。

代償分割の3つのデメリット
①代償金を支払わねばならない
 遺産を多く受け取った相続人は、代償金を支払わなければなりません。
代償金は、相続人自身の財産から支払うことになるので、支払う側の相続人にとって大きな負担になる可能性があります。
代償金を支払えないとほかの相続人とトラブルになる恐れがあるため、代償金を支払える
財産がないなら、代償分割は避けた方がいいでしょう。
②代償金の額や支払いでもめる可能性がある
代償金は、相続する不動産の評価額を基に決めるのが一般的です。しかし、代償金の決め方について、法律で定められているわけではないので、代償金をいくらにするかで相続人同士が揉めてしまうことがある。
③贈与税や所得税が課されることがある
基本的に代償金は贈与税の対象外ですが、遺産分割協議書に、代償分割によって代償金を
支払うという旨の記載がない場合、贈与税が課されることがあります。
また、現金ではなく不動産を代償金として与えた場合、譲渡所得税が課される可能性もあります。

代償分割が適しているケース
①被相続人と暮らしていた自宅を相続したい場合
・被相続人と同居していた方が自宅を相続したい場合、代償分割が効果的です。
・自宅を相続する代わりに代償金をほかの相続人に支払えば、自宅に住み続けられるだけでなく公平に遺産を分け合うこともできます。
②事業を承継したい場合
・事業を承継したい場合、事業用の資産や株式を後継者に集約させる必要があります。
・代償分割を選択すれば、後継者はほかの相続人に代償金を支払う代わりに、事業に係る
 資産を全て相続できます。
③相続人に代償金を支払う余裕がある場合
・遺産を多く受け取る相続人に代償金を支払えるほどの資力がある場合は、代償分割を
 検討するといい。
・代償金を支払えないと、ほかの相続人とトラブルになる可能性があります。

代償分割と税
・代償分割をしても相続税の総額は変わらない
 代償分割を行った場合の相続税の計算
 ・代償金を支払った相続人→相続した遺産ー支払った代償金
 ・代償金を受け取った相続人→相続した遺産+受け取った代償金
・遺産分割協議書に代償分割である旨を記載しておく必要がある。金銭の受け渡しが
 贈与と認定されないようにするため

代償分割と換価分割の違い
・換価分割は、遺産である不動産を売却して、その売却金を相続人間で分割する方法。
 代償分割と換価分割の違いは、相続の時点で不動産を売却するかどうかという点に
 ある。税務上の観点からは、換価分割の場合は、実際の売却代金によっては、相続税
 に加え、譲渡所得税を支払わなければならない可能性がある。

代償金を支払う場合の書き方と記載例
・代償金を金銭で支払る場合は、代償金を支払う旨を遺産分割協議書に記載する必要が
 あります。
・加えて、振込先の口座や手数料の負担についても明記しておくとトラブル防止になる。

具体的な記載例
・相続人××は、・前項に記載された遺産を取得する代償として、相続人△△に対して
 金○○万円を○○○○年〇月○○日までに、以下の口座に振り込む方法により支払う。
 その際にかかる振込手数料は、××が負担する。

 ○○銀行 ○○支店 普通口座
 口座番号 ○○○○○○○○ 
 口座名義 △△
 
・代償金の代わりに不動産を譲渡する場合の書き方と記載例
・相続人××は、前項に記載された遺産を取得する代償として、相続人△△に対して
 ××が所有する以下の不動産を譲渡し、○○○○年○○月○○日までに、所有権移転
 登記手続きを行う。

所在:○○件○○市○○町○○丁目○○番地
地番:○○番
地目:宅地
地積:○○平米

複数の相続人に代償金を支払う場合の書き方と記載例
・複数の相続人に代償金を支払う場合は、次のように、誰に、いつまでに、いくら 払う
 のかを、明確に記載する。
・相続人××は、前項に記載された遺産を取得する代償として、相続人△△に金○○万円
 を、相続人□□に対しては、金○○万円を、それぞれ○○○○年○○月○○日までに
 以下のそれぞれの口座に振り込む方法により支払う。振り込む際にかかる振り込み手数
 料は××が負担する。

分割払いで代償金を支払う場合の書き方と記載例
・代償金は、ほかの相続人が合意すれば、分割払いも可能です。
・分割で支払う場合は、支払い期間と支払日を遺産分割協議書に明記する
・記載例
 相続人××は、前項に記載された遺産を取得する代償として、相続人△△に金○○万円
 を次のとおり分割して、以下の口座に振り込む方法により支払う。その際にかかる
 振り込み手数料は××が負担する。

 令和○○年○○月〇日から令和○○年○○月〇日まで、毎月末日までに金○○万円を
 支払う。

*代償分割について、遺産分割協議書に必ず記載すべき理
 ・代償分割することを遺産分割協議書に書くことで、贈与税がかかるリスクを抑えら
 れる。遺産分割協議書に代償分割について、記載しないと代償金の支払いが贈与とみな
 され、贈与税がかかる場合がある。

代償金を決める際に参考にする4つの価格
①相続税評価額
 相続する土地が市街地にある場合は、路線価方式
 それ以外の場合は、倍率方式 によって、算出する。
・路線価方式の場合、道路ごとに決められた路線価に、土地の面積や補正率などを
 乗じて相続税評価額を決める。
・倍率方式の場合は、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて求めるのが一般的。
 公示価格の80%程度の価格になることが多く、代償金を決める際のメジャーな
 方法といわれている。
②固定資産税評価額
・固定資産税や都市計画税などを算定する際に基準となる価格
 公示価格の70%程度になるケースが多い。
③公示価格
 国土交通省の土地鑑定委員会が毎年公表している土地価格
 土地を売買するときや、実勢価格・相続税評価額などを決めるときの基準となる。
④実勢価格
 ・実勢価格は、公示価格を基に過去の取引額を反映させたもので、時価とも呼ばれる。
 公示価格とほぼ同様、または公示価格の110%~120%程度になることが多い。