■産業廃棄物を運ぶには都道府県知事の許可が必要です。
都道府県ごとに管理しているので、産廃を運搬するのに関係するすべての都道府県の許
可を取る必要があります。
許可の有効期限は、5年です。5年ごとに更新申請をしなければなりません。
・産廃を積む県と下す県の許可が必要です。通過するだけの都道府県の許可は不要です。
・許可を取るのに必要な要件
①能力面
②経営面
③施設面(車両や容器など)
④その他
①能力面
・日本産業廃棄物処理振興センターが行う講習に参加し、終了しなければなりません。講習を受けるべき人
・申請者が法人の時→代表者、役員、政令に定める使用人
・申請者が個人→申請者本人
*講習会は全国の都道府県で開催されている。振興センターの受講申し込みは、早めに予
約して更新期限の3か月前には講習を受けておくのがいいでしょう。
当事務所では、余裕をもって講習のご案内をいたします。
〇許可申請の欠格要件
・対象者法人の役員等、政令で定める使用人、個人事業者
欠格要件
①成年被後見人、被保佐人、破産者で複健得ない者
②禁固以上の刑に処せられ、執行後5年を経過しない者
③廃棄物処理法等に違反し、刑の執行後5年を経過しない者
④重大な廃棄物処理法違反、暴力団員による不当な行為の防止等に違反し、刑の執行後
5年を経過しない者
⑤暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
⑥暴力団員等がその事業活動を支配するもの
⑦その他
2.経営面
・経理的基礎を有していること・分かりやすくいえば、許可申請の際、利益が計上されているか、債務超過の状態にない
かなどの審査を受けます。
・具体的には、通例であれば、直近3年間の決算書と法人税納税証明書を提出します。
個人の場合は、資産調書と直近3年間の所得税納税証明書を提出します。
税金を納めていないと不許可になります。
3.施設面(車両、容器)
・運搬車両を準備します。産業廃棄物が飛散したり、流出したり、悪臭が漏れる恐れのない運搬車や運搬施設を用
意する。
運搬車両は、ナンバーが認識できる正面からの写真と側面全体が見える写真の添付が必
要です。
車両については自動車検査証の所有者もしくは使用者が申請者となっている必要があり
ます。
車庫については申請者が所有している場合には土地の登記事項証明書を添付する。
賃貸の場合には賃貸借契約書のコピーを添付します。
4.その他
・許可を取る品目についての具体的な計画が必要です。どこで何を積んでどこで何を下すかなど。
・事業計画の内容が適法であり、業務量に応じた施設や人員などの業務遂行体制を整えて
いること。
〇産業廃棄物の種類
・燃え殻、汚泥、廃油、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、紙屑、木くず、繊維くず、動植物性残
さ、動物系固形不要物、鋼さい、がれき類、動物の糞尿、動物の死体、ばいじん、そ
のた
■報酬額表(税込み、円)
サポート内容 | 基本報酬額 | 申請手数料 | 申請手数料 |
産業廃棄物 | 特別管理産業廃棄物 | ||
新規許可(積み替え保管除く) | 100,000 | 81,000 | 81,000 |
更新許可(積み替え保管除く) | 80,000 | 73,000 | 74,000 |
変更許可(積み替え保管除く) | 60,000 | 71,000 | 72,000 |

〇産業廃棄物収集運搬業許可(新規)の申請手続きの詳細
・申請先は、各都道府県知事ですが、申請の窓口は産業資源循環協会等に委託している
場合もある
・講習会と同じように、申請も予約する必要があり、早めに予約した方がいい
・建設系産業廃棄物を中間処理施設や最終処分場へ運ぶのは、発注者から直接工事を請け負った元請業者であれば、産業廃棄物収集運搬業許可は必要ない。
・しかし、下請け業者が産廃を運ぶためには産業廃棄物収集運搬業の許可を取得して、元請業者と産業廃棄物処理委託契約を結ぶ必要がある。
・産業廃棄物は、排出事業者にその処理をする責任があり、建設現場で排出する産業廃棄物の処理責任は元請業者が負うことになる。
・産業廃棄物収集運搬業の許可では、特別管理産業廃棄物の運搬はできません。
1.産業廃棄物とは
・簡単にいうと事業活動で排出されるゴミのこと。
燃え殻、汚泥、廃油、廃アルカリ、廃プラスチック類、紙屑、木くず、繊維くず、ゴムくず、金属くず、ガラスくず及び陶磁器くず、鉱さい、がれき類、ばいじん、動物性残さ
動物系固形不要物、動物の糞尿、動物の死体、13号廃棄物(コンクリート固形物など)
・上記の20種類に分類される。
・赤字の8品目が、建設系産業廃棄物、略して建廃と呼ばれる。
*事業範囲記入上の注意点(下記の産業廃棄物について事業範囲を明確にすること)
下記の品目について、間違いないか確認する必要がある。
■事業範囲(取り扱う産業廃棄物の種類)
(どういったものを運ぶのか?)
・事業計画書上で排出事業者より排出された産業廃棄物の種類を記入。産業廃棄物の種類
によっては、以下の有無について記載を要する。
・自動車等破砕物の有無
・石綿含有産業廃棄物の有無
・水銀使用製品産業廃棄物の有無
・水銀含有ばいじん等の有無
*平成25年10月の「水銀に関する水俣条約」を受けた、産業廃棄物の処理及び清掃に
関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成29年環境省令第10号)により
産業廃棄物として「水銀使用製品産業廃棄物」及び「水銀含有ばいじん等」以下「水銀
廃棄物」について新たな取扱が必要となった。
・水銀使用製品産業廃棄物
→該当する産業廃棄物
汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず
・水銀含有ばいじん等
→該当する産業廃棄物
燃え殻、汚泥、廃酸、廃アルカリ、鉱さい、ばいじん
・石綿含有産業廃棄物
→該当する産業廃棄物
汚泥、廃プラスチック類、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類
・自動車等破砕物(通称、シュレッダーダスト)
→該当する産業廃棄物
廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず
*自動車・バイク・家電などの破砕によって生じたものを「自動車等破砕物」と呼ぶ。
*特別管理産業廃棄物とは?
・産業廃棄物の中で特別なものが、特別管理産業廃棄物と呼ばれ、一般廃棄物の中で特別
なものが特別管理一般廃棄物と呼ばれる
・その中で、爆発性、毒性、感染性その他人の健康または生活環境に係る被害を生ずる
恐れのある廃棄物をいう
・特別管理産業廃棄物を排出した事業者に対しては、特別管理産業廃棄物管理責任者の選
任など、通常の産業廃棄物と比べて、特別な管理が義務付けられている
・主な種類は次の通り
①廃油、揮発油類、灯油類、軽油類(難燃性のタールピッチ類等を除く)
②廃酸、著しい腐食性を有するPH20以下の廃酸
③廃アルカリ、著しい腐食性を有するPH12.5以上の廃アルカリ
④感染性産業廃棄物、医療機関等から排出される産業廃棄物で、感染性病原体が含まれ
もしくは付着している恐れのあるもの
・特別管理産業廃棄物の管理責任者の業務は次の通り
①廃棄物の排出状況の把握
②廃棄物処理計画の立案
③保管状況の確認
④委託業者の選定や委託の実施
⑤マニュフェストの交付、保管
・特別管理産業廃棄物の管理責任者の資格
①感染性産業廃棄物を生ずる事業所で必要な資格
医師、薬剤師、獣医師、保健婦など
②感染性産業廃棄物以外を生ずる事業所で必要な資格
薬学、工学、農学に関する学校を卒業し、一定以上の実務経験がある者
③上記と同等以上の知識を有すると認められる者
財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する特別管理産業廃棄物に関する
講習会修了者(収集運搬の場合、受講期間、3日間。処分の場合、受講期間4日間
収集運搬と処分を同時に受講する場合、受講期間4.5日間)
2.産業廃棄物収集運搬業許可は、排出場所(現場)から処分場(捨て場所)へ産廃を、他人から頼まれて(有償・無償を問わず)運ぶ際に必要となる。
・現場(排出場所)と処分場の両方が都道府県をまたぐときは、その両方の都道府県の
許可が必要です。
・許可が必要になるのは、産廃が出る場所と捨てる場所(積み替え保管を除く)だけで
通過するだけの都道府県では必要ない。
*積替え保管とは?
・積替え保管とは、収集した廃棄物を処理施設へ効率よく運搬するために、一時的に
一か所に廃棄物を集め(保管)、そこである程度大きな量にまとめて運搬車両へ積替
え、処理施設へ運搬する方法

3.産業廃棄物収集運搬業の許可要件は?
①施設に関する基準
・運搬に使う車両、容器、駐車施設、洗車施設などが該当する。
・積み替えまたは保管を行う場合は、積替え施設、保管施設、積替え作業に必要な重機
なども該当する
・収集・運搬を行う予定の産業廃棄物の性状、形状、取扱量などに応じた車両・容器
などを用意しておく
・例えば、車両が土砂等の積載禁止と記載があれば、がれき類等は運べませんし、液状
の汚泥などを運ぶ場合は、こぼれない容器が必要になる
・ダンプの車検証の使用者名が許可を申請する会社(個人)の名前である必要がある
・もし、違う場合は、別途、車の賃貸借契約を添付する
・ダンプ、フレコンバッグ、ドラム缶などを保有する必要がある
・がれき類などは、ダンプの荷台にシート掛けをして飛散しないようにする
・石綿含有産業廃棄物は、フレコンバッグに詰めて運ぶ
・水銀使用製品産業廃棄物は、破砕しないように緩衝材を使用し、他と区別して専用容
器に入れて運ぶ
②講習会の受講
・「公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター」の講習会で、収集運搬課程(新
規)の講習会を終了していること
・許可の申請をする会社の役員(個人の場合は代表者)が、受講する必要がある
・法人の場合、取締役または政令使用人、監査役は要件を満たしません
・講習会の有効期限は、5年間
・この講習会は、年に数回しかないため、気を付けること
③経理的基礎
・会社の財務状況がチェックされる
・債務超過でない、繰越利益剰余金がマイナスでない、法人税に未納がない
・直近の決算書の純資産がマイナスの場合は、追加で、国税等に未納がない旨の証明書
と直前3年分の販管費・売上原価の提出が必要になる
・都道府県により、債務超過の場合は、中小企業診断士や公認会計士の診断書を提出す
る必要がある
④欠格要件
・審査の対象は、法人の役員(監査役、相談役、顧問を含む)、株主(出資者)、政令
使用人(支店長、営業所長)などです
・欠格要件の内容は次の通り
・廃棄物処理法、浄化槽法、環境に関する法律に違反して罰金刑になった
・認知能力に問題があって成年被後見人や被保佐人である
・破産してまだ復権を得ていない
・許可の取り消し等の処分から時間が経ってない
・暴力団員または暴力団をやめて時間が経ってない
*産業廃棄物処理法に違反すると、許可取り消しなどの行政処分だけでなく、刑事処分
(罰則)の対象になる
・5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金
違反事例
・無許可営業
・営業許可の不正取得
・事業範囲を許可なく変更した
・無許可の会社に名義貸しした
■申請書類、添付書類について
・申請時には、申請手数料が必要です。
(新規→81,000円、更新→73,000円、変更→71,000円)
(標準処理期間 東京都→60日、千葉県・神奈川県→60日、埼玉県→43日)
・必要書類は、正本と副本を作成する
・審査には、3か月程度かかる、都道府県により異なる
・必要な添付書類
①定款(法人の場合)(定款の目的→産業廃棄物処理に関する記載が必要)
(原本証明を付することが望ましい)
②履歴事項全部証明書(会社謄本・法人の場合)(取得日から3か月以内のもの)
③申請者、使用人、役員の住民票(マイナンバーの記載のないもの、本籍地の記載の
あるもの)(取得日から3か月以内のもの)
④申請者、使用人、役員の登記されていないことの証明書
⑤直前3年の決算書(法人の場合)(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書
個別注記表)(設立後、3年に満たない場合、決算期を迎えた決算書を提出、設立後
決算期を迎えていない場合、開始貸借対照表を提出)
⑥直前3年の法人税の納税証明書(その1)(法人の場合)(3年に満たない場合
決算期を迎えた分の納税証明書(その1)で、設立後決算期を迎えていない場合
提出を要しない)
⑦直前3年の申告所得税の納税証明書(個人の場合)(法人化の予定がある場合
法人化してからの方がいい。個人として取った許可は引き継げない)
⑧登録する車両・容器の写真
⑨自動車検査証または自動車検査証記録事項
⑩駐車場の登記事項証明書(全部事項証明書)または賃貸借契約書等

〇産業廃棄物収集運搬業許可の更新手続きの詳細
・産業廃棄物収集運搬業の許可は、5年間有効です
・更新許可申請は、許可期限日の3か月前から行えます
(都道府県によっては、2か月前のところもある)
・許可申請後、審査中であれば、以前の許可は審査終了まで有効ですので、期限日までに
申請すれば、以前の許可が継続されます
・許可申請せずに、許可証記載の有効期限を1日でも過ぎてしまうと、更新することがで
きなくなります
■更新手続きの流れ
①更新許可のための講習を受講する
講習会は、年に数回しか開催されなかったりするので、早めに受講し終了証をもらうこ
と
②必要書類の収集、申請書類の作成
〇法人の場合
・許可申請書
・現許可証の写し
・定款の写し
・履歴事項全部証明書
・役員及び出資者の住民票の写し
・役員及び出資者の登記されていないことの証明書
・誓約書
・講習会の終了証の写し
・事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類」
・決算書(直前3年分)(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注
記表)
・法人税の納税証明書
〇個人の場合
・許可申請書
・現許可証の写し
・住民票の写し
・登記されていないことの証明書
・誓約書
・講習会の終了書の写し
・事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類
・資産に関する調書(残高証明書や小手資産評価証明書等)
・申告所得税の納税証明書(直前3年分)
*変更した事項がある場合
・変更事項確認書
③許可期限日までに都道府県に更新申請する
(3か月前から受付しているので、なるべく早めに、余裕をもって申請した方がいい)

■変更届について(産業廃棄物収集運搬業の許可の変更届)
・許可取得後、役員の変更や使用する自動車の入れ替えがあった場合には、定められた
日数で変更届を提出しなければならない
・変更届を提出せずに、そのまま放置していた場合には、30万円以下の罰金に処せられ
る
・これと似ているものに、変更許可があります。変更許可は、取り扱う産業廃棄物の品
目を新たに付け加える場合や、積替え保管施設を設置する場合に必要な許可のことで
す。
・次のような変更等の場合に変更届が必要となる
①法人の名称→30日以内
②個人事業者の場合の、氏名→10日以内
③法人の本店所在地→30日以内
④個人事業者の住所→10日以内
⑤法人の代表者、役員(監査役含む)→30日以内
⑥法人の株主・政令使用人→10日以内
⑦運搬車両・船舶→10日以内
⑧駐車場所在地→10日以内
⑨取り扱う産業廃棄物の品目の減少→10日以内
⑩政令市における積替え保管許可の有無の変更→10日以内
⑪産業廃棄物収集運搬業の廃止→10日以内
⑫欠格要件に該当していることの届出→2週間以内
⑬積替え保管施設に関する変更→窓口で相談
〇変更届の必要書類等(変更届の内容に応じて必要となる書類が異なる、また自治体によ
り違いがあるので、事前に該当の自治体に確認が必要です。)
①現許可証の写し
②定款
③法人の履歴事項全部証明書
④届出者の住民票抄本
⑤登記されていないことの証明書
⑥車検証及び写真
⑦欠格要件に該当したことが確認できる書類 など
*当事務所では、各種許可申請のほか、変更届についても、ご相談を承っておりますので
お気軽に、ご連絡ください。
・